予想外の恋愛





携帯に着信があったのは、例の土曜日のちょうど一週間前だった。



「…なんでこの人から?」


首を傾げながらも、要注意人物からの電話に出た。


「もしもし」

「俺」


ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ怖かったのだ。
まだ怒ってたらどうしようかと。
だけどそれは無駄な心配だったのかもしれない。


「はい。どうしたんですか」

「あー…えっとだな、次の土曜日何してる」

「え?あの、その日は休みなんですけどちょっと約束がありまして…」

「あっそ。一日中かよ?」

「あーどうなんですかね、わからないです。というか朝田さんこそ知らないですか?」

「は?」


この様子だとどうやら中島さんに空けといてと言われたことを、朝田さんは知らないらしい。
てっきり知っているものだと思っていたのでこっちが不思議になってしまう。


「私、中島さんにその日は空けといてって言われたんですけど。何の用事かまだ聞いてないんでわからないです」

「はああぁ!?」


…うるさい。
耳がキーンとなって思わず耳から携帯を遠ざけた。


「…なんなんですか、もう」

「あの野郎…いらねぇことしやがって」

「話が見えないんですけど!」

「そういうことだボケ!次の土曜日、そのまま空けときやがれ!」

「な、なんなのそれ!?私は中島さんと約束…」

「あいつには俺が話つけとくからお前は土曜日、昼前に出かける準備済ませて待ってろ!いいな!」

「ちょっ…」


ガチャッと通話が切れた。


土曜日、昼前に出かける準備済ませて待ってろ?
出かける?どこに?誰と?

というか…。


「人の話は最後まで聞けバカ!」



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