CHAIN
私も人のことは
言えない。



赤く染まった髪。
鼻やおへそにまであいたピアス。
ジャージにスリッパ。



私は変わった。
こういう世界とわ
無縁だと思ってた。



けれど踏み入れてしまえば
染まるのはすぐで。
慣れるのもすぐで。


そうすることが
快感なんじゃない。
そうすることが
かっこいいとかじゃない。



そうすることで
自分を守った気になるの。そうすることが
自分の盾になる気がしたの。




『つい~たっ』



隆也が言った。
行く場所なんて。
ないと言っていたのに。



「わあ………」



私は思わず息をのんだ。
なぜならそこに
びっくりするほどたくさんの星が
瞬いていたから。



『ここられんさ、くれ~から星がよく見えんだよ!』



たしかにいつの間にか
あたりわ真っ暗で
街頭すらなくなっていた。


「きれ~…」



こんなにただただきれいなものを見たのは、久しぶりだった。



私わいつの間にか
上を向いて歩くことを
忘れていたね。



だからか、
うまく感想を言えなくて
ただ呆然と、夜空を仰いだ。


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