クールな彼
first love
席替え
高校1年生。
学校に慣れてきて少し経ったころ。
クラスにもだいぶ馴染めてきた。
でも一つだけ慣れないことがある。
朝教室に入れば後ろの席のほうにいる数人の女の子。
「黒瀬く~ん♡」
漫画の世界か!って突っ込みたくなるほどのモテ王子。
彼は、成績優秀で容姿端麗。1年生にしてバスケ部のレギュラー。女の子たちが騒ぐのも無理ないんだよね。
ちらりと黒瀬くんのほうを見ると、眉間にしわを寄せ、怖い顔をしていた。
「ま~りっ!!おはよう♪」
「あ、雪菜。おはよう」
いきなり私の前に現れたのは、幼馴染で私の親友。澤田雪菜。
美人で明るくて、いつも助けてくれる。
「なになにー?また黒瀬湊でも見てたの?」
ニヤニヤしながら小声で囁いてくる。
「う、うん…。今日も凄いなーって思って」
「素直だな~まったく。可愛いんだから!!」
にこりと微笑んでぎゅーっと抱きしめられる。
そう、私も黒瀬くんを好きな人の一人。
「なに、この甘い空気…」
「彰吾!なになに?さては羨ましいんでしょ?」
いきなり後ろから声をかけてきたのは、橋本彰吾。
彼も幼馴染で、昔から雪菜と彰吾と三人で遊んだりしていた。
「ば、ばっかじゃねーの!?」
「はいはい、そんな顔赤くしながら言われてもねぇ?」
雪菜と彰吾は昔からこんな感じで凄く仲良し。
「彰吾おはよ」
「お、おう」
いつも雪菜と彰吾には助けてもらってる。
「彰吾も報われないなー」
「うっせーよ」
いつも通りの日常が始まった。