あの続きは給湯室にて
棚の中の食器が音を立てて移動する。コーヒーメーカーの中に溜まっているコーヒーがゆらゆらと揺れ、窓が軋む音がする。
……怖い。
恐怖で声が出ない。体は固まり、そこから動けなくなる。
「こっち。」
「っ、」
強い力で腕がひかれた。固まって動かないと思っていた私の体はいとも簡単にバランスを崩す。
すると彼は私の体を受け止めそのまま壁際へ立たせると、彼が覆い被さるように身を寄せた。
未だ止まない揺れに体が強ばる。
どうしようもない恐怖で何かにすがりたくなり彼のワイシャツを掴むと、彼は大きな手で私の頭を引き寄せる。
棚の上に置かれていた何かが音を立てて落ちる。そしてそれが彼の背中に当たったのがわかった。
永遠にも感じる時間の中で、ぎゅっと目を閉じた私は彼の体温だけを感じる。
……どのくらい時間が経ったのだろう。
とてつもなく長く感じられた時間は、実際にはそれほど長いものではなかっただろう。
完全に揺れが収まったことを確認すると、彼はゆっくりと体を離す。