あの続きは給湯室にて


彼が私の顔を覗く。あまりにも近いその距離に、鼓動が速くなる。


「大丈夫だったか?」

「た、玉城こそ……。」

「俺は全然平気だけど。」

何もないという風に言う彼だけど、確かに棚から落ちた何かが彼の背中に当たったのだ。

もしそれが、重たいものだったりしたら。


「結構でかかったな。」

「うん。……ねぇ本当に怪我してない?」

「大丈夫だって。」

心配しすぎ、と笑うが、それに答えることは出来なかった。


虫だって、雷だって、もう少し可愛らしく怖がってみろと呆れられるほどへっちゃらな自分だが、地震だけは何歳になっても苦手なものだった。

地面が揺れる、という何とも言えない不安定さがどうしようもなく気持ちを不安にさせる。

数年前に日本中を揺るがす大きな震災があったときも、実家の母に泣きながら電話をしたほどだ。


涙で目が潤んでいるのが自分でもわかる。

ゆらゆらと揺れる視界の中の彼が、困ったように笑ったのが見えた。


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