秘め恋*story4~病室で…~
「しつれーしまーす。こんにちは。」
「こんにちは。はい、座って。」
言われるがまま、前の丸椅子に座った。
はぁ。今日も変わらず、カッコイイ。。
「先生、今日も好きです。」
「はいはい。で、体調はどうだ?」
見とれながら、毎度のごとく『好き』を伝える私。
それに対して先生はいつものように受け流し、患者さんへの一般的な対応。
そんな一見冷たい人に見えるこの、銀縁メガネの似合う先生は、古谷 良樹(フルヤ ヨシキ)先生。
染めてない黒髪を軽く後ろに流して、銀縁メガネをかけて、いつも白衣の下はTシャツにジーパンとめっちゃカジュアルなお医者さん。
モデルでも絶対イケる整った顔は、いつも担当のおばあちゃん達をメロメロにしてしまう。
そんな私の主治医の先生。
そして、私のずーっと片想いしてる人。
「この前、ちょっとだけ苦しい咳があったんですけど…あとは大丈夫です。」
「そうか…一回詳しい検査もしないとなぁ。」
「え、嫌です。痛いのも怖いのも嫌です。」
「子供かっ。…大丈夫、痛いのも怖いのもないから。」
検査を嫌がる私に、先生は毒を吐きながらも
頭をポンポンしながら、安心させてくれた。
なんか、完全に子供扱いだけど…好きな人に優しくされたら、めちゃめちゃ嬉しいっ。
「はい、じゃあ心音聴くから、服捲って。」
「は、はいっ。」
わ、わぁお。きました今日も!
これは難関ですぞ。
え、何が難関かって?
だって、好きな人が自分に触れるんだよ?
それもむ、胸あたりを…
心臓暴れまくりでしょー。。
「はい、息吸って…」
服の裾から差し入れられた聴診器が触れて、ヒヤッと冷たい。
おち、落ち着くんだ、美奈。
息を吸って、吐いてだよ。
「はい、吐いて…」
先生の整ったあのお顔がこんなに近くに…
静かな診察室に先生の抑えた声。
き、キャーッ///////
「こら、診察できないだろ。
…気持ち落ち着けなさい。」
「だ、だってぇ…」
「だってじゃないだろ。ほら、深呼吸…って、また心拍上げてどうする。」
だって、そんなぁ。
恋する乙女はドキドキが止まらないんですッ。