秘め恋*story4~病室で…~




そんなこんなで古谷先生との関係は、10歳の出会ってから変わらず。



良くも悪くも、患者と主治医の関係。



さすがに子供の頃から知ってるからか、他の患者さんよりはちょっと仲良しな感じ?



って、自分では思ってるんだけどね。




「大下さん、これです。成人式の。」



「わぁ~可愛いじゃないの~。」



「えへへへ。」




診察も支払いも終わって、大下さんとおしゃべり。約束していた成人式の振り袖姿の写真をスマホで見せてあげていた。




「はぁ。あんなに小さかった美奈ちゃんも、もう大人ねぇ。私も年取るわけだわ。」



「ふふ。もうお酒だって飲めちゃいますよ?」



「大学生だし、飲み会とか合コンとかいっぱいでしょ?」



「びっくりするくらい飲み会ばっかりです。」





なんて大下さんと楽しくおしゃべりしてると、




「村山さん。」



「あ、先生っ♪」




診察が終わった古谷先生が待合室へと出てきた。




「薬のことなんだけど、
少し変えてもいいだろうか。」



「あ、はい。わかりました~。」




能天気に返事をした私に、先生はちょっといぢわるな笑みを浮かべてこう言った。




「薬、苦くても飲むんだぞ?」




薬が苦いものに変わるのかなんてことより、
先生のその笑顔にやられました。




「先生、もう子供じゃないんだから、苦くたって薬くらい飲めますよー。」



「フッ、どうだかな。」




私をふにゃ~っとさせたり、む~っとさせたり先生は優しいんだか、いぢわるなんだか。




「あ、これ。成人式のか?」



「はい。振り袖着ました♪」




大下さんと見ていた私のスマホの写真を先生が覗き込んだ。


どうかな?ちょっとは大人っぽくなったって思ってるかな?綺麗だなとか…




「へぇ…孫にも衣装ってやつかな。」




はい。期待した私がおバカちゃんでした。


ちぇー。いいもん。
頑張って先生がドキドキするくらい大人な色気のある女になってやるんだもん。







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