秘め恋*story4~病室で…~
「さぁーてと。今日は合コンに誘われてるのでそろそろ帰りますっ。」
「あらら~、
美奈ちゃん可愛いから、心配だわぁ。」
私はちょっと仕返しに、大きな声で合コン行きます宣言を、受付の奥でパソコンをいじる先生にわざと聞こえるように仕向けてみた。
少しも反応しない先生の後ろ姿にむぅーと膨れっ面をお見舞いして、病院の入口へ歩いた。
ふん。ふん。
先生のばーか。
ホントに合コン行っちゃうぞ。
彼氏作っちゃうぞ。
もう、好きって言ってあげないぞ~だ。
病院の外へ出ると、寒い北風が顔にあたった。
う~、寒い。
あ、マフラー…
中にマフラーを忘れたことに気づいた瞬間。
ーーーーふわぁっ。。
首もとに使いなれたマフラーの柔らかい感触。
「こら、忘れ物。
風邪引いても、診てやらないぞ。」
「先生っ。」
振り返ると、そこには白い息でため息をつく先生が立っていた。
私が忘れたマフラーを持って出てくれたんだ。
ふふふ、優しいなぁ。
仕方ないなぁ、合コンなんて行かない。
まだまだ先生一筋でいってあげるよ。
なんて、マフラーに口元を埋めながら思っていた私。
でも、
「あと、合コンもいいけど、くれぐれもお酒を飲みすぎないように。わかった?」
え?
合コン参加OK??
先生はそれだけ言うと、また病院内へ入っていった。
暫くその場に立ちすくむ私。
「合コンでも何でも行ってやるんだからー!」
ふんふんと鼻息を荒く、私は病院を後にした。