秘め恋*story4~病室で…~



ーーーーーーー



分かってるもん。
古谷先生は私なんてただの古株の患者としか思ってないんだもん。



ふんだ。



小さい頃からずっと子供扱いなんて慣れてるもん。



私なんて先生の恋愛の眼中にないことなんて、
ずぅーっと分かってるもん。



私が毎回真剣に『好き』を伝えても、



『はいはい。』



それで終わりだもんね。




「先生のばぁーか…」




自分のこと好きって言う子に、合コン参加OKなんて言わないでよ。



からかってでも良いから、



『合コンなんて子どもにはまだ早い。』



このくらい言って欲しかったよ。




「美奈ちゃん、飲んでる?」



「あ、うん。はい。」




なんてボーッと1人頭のなかで愚痴っていると隣から話しかけられて、我に返る。



そうでした。
今は楽しい②合コンの最中でした。



結局、私はあの病院からの帰りの勢いで友達から誘われていた合コンに参加していた。



そしてあろう事か、慣れないお酒を一気してしまった。




「美奈ちゃん、大丈夫?
空気吸いにちょっと外出よっか。」



「ふぁーい。」




あんまり記憶にないけど、隣に座っていた男の子が私を外へ連れて出てくれた。



私の腰に手を回して密着して歩く男の子に軽く戸惑いつつ、支えられるまま歩いた。




ちょっとお酒の酔いも覚めた頃、気づいたら私はホテルのシャワーを浴びていた。




「え、え、何で?どうしよ。」




とりあえずシャワーを止めて、バスタオルで体を包み込んだ。



と、その時、脱衣場と浴室のガラス越しに人影が…



その瞬間、一気に体にゾクゾクっと嫌な感覚が走る。




「美奈ちゃん、俺、ちょっと1階まで降りてくるから。すぐ戻るね。…ベットで待ってて?」



「は、はいっ。」




とりあえず返事をして、部屋のドアが開いて閉まる音を確認すると私は、体や髪も少し濡れたままで着替えると部屋を飛び出した。



あの男の子が帰ってくる前に。



エレベーターを使わずに、階段をかけ下りた。
少し呼吸が苦しかったけど、必死にホテルから離れたかったから頑張って走った。








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