雪系男子のゆうちゃん


________


昼休み。


「結城〜、試合大丈夫なの?」


前の席の浜田が、ぐいっと背を反らせて、逆さ向けにこちらを覗いてくる。


「うん、まあ。」


大丈夫じゃなくても、大丈夫にするしかない。

だってゆうちゃんとお近づきになるチャンスだもん!!



なんて思いながら、

ゆうちゃんの方をみると、なにやらスマホを見ている。

すると、「あ、みーちゃん」と画面に顔を近づけた。


でた!みーちゃん!!



ドキッとなった心臓を抑えつつ、ゆうちゃんの様子をうかがう。

なに、みーちゃんって、って聞きたいのは山々なんだけど、そんなの聞く勇気が…



「ねー、みーちゃんって誰ー?」


未だに背を反らせて逆さまにこっちを見ている浜田が、

史上最高のナイスプレーをしてくれた。



ゆうちゃんは、顔を上げもせずに

「本村氏」


と答えた。



やっぱり……


「えっ、なんで美優のことみーちゃんって呼んじゃってんのお前!もしかして…」



と浜田が核心に触れようとしたその時、


「ちょっと」とゆうちゃんが立ち上がって、スマホを片手に颯爽と教室を出て行ってしまった。




えええええ!


「は、浜田、今のなに!美優に呼び出された的な!?」


口調とはにつかず、心はズーンズーンと重い鐘が打つように暗い。



「あいつはやめとけって、あんなに言ったのによー…」


浜田はやれやれと言った様子で肩をすくめる。



「やめとけって…ゆうちゃんと美優の話でもしたの?」



「んーまあ流れで?でも昔から美優って強情で気強いし、綾瀬には合わねえってアドバイスしてやったんだけどなー…」



え、アドバイスって何?

ゆうちゃんが美優のことについて、浜田に相談したってこと??




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