雪系男子のゆうちゃん
綾瀬優side>>
昼休み、「みーちゃん」からの通知が来て、教室を出る。
「あー、綾瀬くんだ!」
「ほら、見て綾瀬くんだよ」
廊下や階段で視線を浴びるのも、もう慣れた。
そのまま、俺の目的地、屋上に上がっていくと…
「あ、綾瀬くぅ〜ん!」
タタタタッと駆け寄ってくる本村氏を、サッと避ける。
「って!」
本村氏は柵にぶち当たりそうになってつんのめった。
快晴だ。秋晴れで心地よい風が吹く。
俺は街並みを見下ろせる段差に腰掛けて、スマホを取り出した。
「ちょっと〜待ってよ、綾瀬くん…じゃなくって、
優Tube!!」
駆け寄ってきた本村氏が、そのまま俺の横に腰掛けた。
「っしゃ、いきますか!!」
スマホ画面を横に向けて、本村氏が気合いのこもった声を出す。
俺も、同じ画面開き、通知欄の「みーちゃん さんから協力対戦申請が届いています」の欄をタップする。
「てかさー、優Tubeってなんなの、変な名前!笑」
本村氏が俺のゲームアカウントの名前をディスる。
「うるさい」
自分でも、ダサすぎる名前だと思うが、思いついたら頭から離れなくなったのだ。
結構悩んだものの、結局「優Tube」以上の名前が思い浮かばなかったのは悲しい。
このゲームは俺が中学の頃からハマっている世界中で人気のオンラインゲームだ。
そのゲームで巷じゃ割と有名な「みーちゃん」という超強者キャラが、本村氏だと知った時の衝撃はいうまでもない。
体育後の踊り場から足を踏み外しそうだったほどだ。
それから、こうやって時々昼休みにあってゲームする仲に陥ってしまった。
一人でもいいのだが、やっぱり二人で隣でやるとバカほど盛り上がるのだ。