雪系男子のゆうちゃん


____

そんななか、事件は起こった。

事件というには大げさだが、

事件といわないには小げさだ。



そんな出来事というのは…


いつも通り、昼休みに「みーちゃん」からの対戦通知が入る。

それを合図に、俺はスマホを片手に立ち上がった。

そういえば、いつも昼休みは教室にいるあやちゃんが今日はいない。


便所だな。と見切りをつけて教室を出た。



廊下を歩いていると、ふと、ふらふらとふらついて壁伝いに歩いてくる女子がいる。

目が悪いのでよーく見ないと分からないが、おそらくあれはあやちゃんだ。



お腹に手を当てて、片方の手で頭をおさえながら、肩で息をして歩いている。


…何事!


俺は俯いて前も見えてないあやちゃんの前に立った。


案の定、


「…ぎゃ」

とあやちゃんは俺にぶつかった。



「…へ、ゆうちゃん…」


顔を上げるのもしんどそうで、無理して口に笑みを浮かべているのもわかる。


「どうしたの?」


掠れた声で聞いてくるけどこっちのセリフだ。

俺も「どうしたの?」とおうむ返しした。


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