雪系男子のゆうちゃん



肩で息しておきながら、何を気にしてるんだ、この人は。



あやちゃんの表情が分からないので、片手であやちゃんを抱いたまま、
壁に片手をついて腰を曲げて覗き込む。



「しんどいの?」


涙目のあやちゃんが、黙って頷く。


「保健室まで歩ける?」


あやちゃんが、ぜーぜーと息をしながら、また頷く。
その瞬間、ガクッと膝が折れて俺の胸に倒れこんだ。


えええ、大丈夫なの?どうしたの、あやちゃん。


いつもあんなに元気なのに…



俺は必要に迫られ、人生で初めて、人間をお姫様抱っこした。


「え、あれ綾瀬くんだよ!!!」


「ひぇ!?女子、お、お、お姫様抱っこぉぉ!?!?」


「誰!?お姫様の方は誰!?!」


「ぎゃぁぁぁぁぁああ」



色んな方向から男女問わず、大絶叫(?)が聞こえてくる。


恥ずい、大変恥ずい。


でもそんなこと言ってられない、なんといっても
あやちゃんがピンチなのだ!



「…そ…より…」



あやちゃんが俺の胸の中で、真っ赤な顔で熱い体をして

潤んだ目で見上げてくる。




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