雪系男子のゆうちゃん
あやちゃんの顔がちょっと近づく。
長い睫毛にきらめく涙も、
茶色い瞳に映る自分の顔も見える。
「私、ゆうちゃんのこと…」
もう、ほぼ全部言ったようなものだったが…
ガラガラッ
と、絶妙のタイミングで保健室のドアが開いたせいで、肝心な部分は聞き取れなかった。
「絢香ちゃん、大丈夫!?」
カーテンの向こうから、本村氏の声が聞こえる。
「私いま知って…っ、あ、」
カーテンを開こうとしたらしく、カーテンが少し揺れた。
が、そのまま開けられることはなく、
「…もう大丈夫?今日は稽古休むよね?」
とカーテン越しに、少し遠慮がちな声が聞こえる。
「美優、ありがとう。もう大丈夫。
稽古は明日からまた行くよ」
あやちゃんがそういうと、
「…うん!分かった!顧問に言っとくね!」
という本村氏。
それから、ちらっとカーテンを開けて、顔だけ出した。
ニヤニヤしながら、俺ら二人を見て、
「お大事にねぇ〜 ばいばい、優Tube」
といって去っていった本村氏は、なんだかちょっと大人に見えた。