雪系男子のゆうちゃん
「これから知るの」
「……俺、思ってる以上に何もないよ」
自分のことは全部全部、話したと思ってるゆうちゃん。
まだまだまだ、足りないのに。
もっともっと、知りたいのに。
「いーの。さ、行こ」
私はカバンを肩にかけて、時計を確認する。
「…やばい、過ぎてるじゃん、ゆうちゃん!」
「…やだ、走りたくない」
「いいから、走って!」
私はゆうちゃんの腕を掴んで、教室を出る。
若干、いや、だいぶ視線が痛い。
でもこれは、手を繋いでるわけじゃないからね。
腕、だからね!!
私は心の中でみんなにそう言いながら、
ゆうちゃんと委員会の教室までの廊下を走った。