雪系男子のゆうちゃん
ゆうちゃんは、黙ってこのガラクタだらけの薄暗い部屋を見回す。
ふわっと跳ねたゆうちゃんの後ろ髪が可愛い。
「ここにさ、なんかありそうじゃない?文化祭のヒントになりそうなもの」
私は、所狭しと置いてある、演劇で使ったらしいさまざまな舞台道具や、衣装などを漁る。
「なーんーか、ないかなー?」
引き出しや、ダンボールには、「小道具①」「楽器」など面白そうなものがたくさんある。
…あ!
「あれ、あれはどうかな」
私は、「仮装用」の文字が書いてあるダンボールに手を伸ばした。
………と、届かない……
ボコボコのコンテナーの上に置いてある、「仮装用」ダンボールは、私が爪先立ちで手を伸ばしてもギリギリ届かない。
「…いや、いけ…る…」
私はぐ〜っとあと1センチの距離を詰める。
「ん、んんん〜っ」
と、つま先から手先までピンっと伸ばして必死で頑張っていると、
影を感じて、はっと見上げる。
「…これ?」
そう言って、私を見下ろすゆうちゃん。
…まって、この距離…やばい…
壁とゆうちゃんに挟まれて、ゆうちゃんの影の中にすっぽり埋まってる私。