雪系男子のゆうちゃん
私は、一人でありえないくらいいっぱいいっぱいになりながら、
「はい どうぞ」
と、ゆうちゃんが離れて、その箱を私に手渡してくれるまで、結局何も言えなかった。
「……」
私はその箱を受け取る。
「ありがとう…」
離れたくなかった。
もう一回、近くに来て。
私は、箱をそばの台に置いた。
動いたら触れるくらい、近くに来て、
その愛くるしい顔で、見つめて、名前を呼んで、
触れて下さい。
耳元で名前を囁いて、吐息でとろけさせてください。
ゆうちゃんの全部を感じさせて下さい。
「…その顔、やめて」
「…へっ」
とうとう全部、声に出して言っちゃったのかと思った。
だって、ゆうちゃんが近い。
さっきと同じように、壁との間に挟まれる。
私がすっぽりとゆうちゃんの影に隠れる。
見上げればすぐ、ゆうちゃんの顔がある。
メガネの向こうにある綺麗な淡い瞳が私を写して、
ちょっと赤くなったゆうちゃんの顔が、色気を際立たせる。