雪系男子のゆうちゃん



「一瞬だけじゃん、一瞬でいいから、つけて」


私は取り返すのを諦めて、手を前に合わせて懇願する。


「ダメだって」


「なんでダメなの!」

「襲われちゃうでしょ」


ゆうちゃんは、そう言って私が届かない高い棚の上に猫耳を置いた。


「誰もいないからいいじゃん!」



「いるじゃん」


「え!?」


私は周りを見回す。


え、いないよね?


「いないじゃん!」


ゆうちゃんは、何のことか分かってない私を、ちょっと哀れむような目で見てくる。

何その目は…!


………


………


………って、え、もしかして



「え、私のこと!?」


私は自分でも笑えるくらいびっくりして、自分を指差した。





< 156 / 188 >

この作品をシェア

pagetop