雪系男子のゆうちゃん



と、言うわけだが、

別に、俺はあやちゃんが俺を舐めるのが怖いわけではない。


別に、あやちゃんが俺を好きなことに戸惑っているわけでもない。



なんとなく、どうすればいいかわからないだけである。

そして相談相手もいなければ、何をどう相談すればいいかもわからず、

まず何に悩んでいるのかも分かっていないと言う点で、困難な壁に当たっていると言える。



「あ、あ、あの、綾瀬くん!」


大嫌いな数学の時間が終わり、教室に戻ろうとすると、同じクラスの大野さんが意を決した顔をして俺の前に立ちはだかった。


「好きです!」


唐突だな。

「ありがとう…ごめん」


俺は生まれてから何十回使ったかわからない決まり文句を、また使う。



「あ、あ、綾瀬くんって、その、結城さんと付き合ってる感じなの…かな?」


俺の返事はわかりきっていたというふうに意にも介さず、彼女が俺を見上げて、頬を赤らめて目を泳がせる。


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