雪系男子のゆうちゃん
「…っへ」
机に座る俺のおでこと、前に立つあやちゃんのおでこが触れる。
俺はあやちゃんの首元に手を回して、片方の手で耳に触れ、髪を触る。
「…っ、…」
あやちゃんが戸惑いながら、声にならない声を漏らす。
いい匂い。
さらさらの髪に触れて、ずっとこうしてたい。
可愛い、可愛い、柔らかい。
何かが、満たされる。
なのに、欲情してもっと、もっとどうにかしたくなる。
……
はぁっと湿った息が俺の喉を通って漏れる。
「…可愛い」
かすれた自分の声を聞いて、少し冷静になった。
あやちゃんが、まだ鼻が触れ合う距離で泣きそうな顔で俺を見る。
俺は、両手でそっとあやちゃんを押した。
「…こほっ…なんでもない…ごめん…」
あやちゃんは、「…ん、うん…うん…」と小刻みにうなずいて、所在なさげに目を泳がせる。
俺は俯いて手で口を押さえ、片方の手でズボンを押さえながら……
上目遣いになりながら情けないことをお願いした。
「ごめん、あやちゃんしばらくあっち向いてて……」
「へ…」
「1分でいいから、俺の方見ないで、お願い」
「…わ、わ、わかった…!!」
パニック状態のあやちゃんは、ガタッと俺の隣の椅子を引いて座ると、廊下の方を向いて突っ伏した。
俺はため息をついて、机の上であぐらをかき、
黒板の消されたあとを見ながら、邪念を払う1分を過ごした。