雪系男子のゆうちゃん



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「ゆうちゃん、おはよ〜っ」


月曜日、教室に入っていつも通りゆうちゃんに挨拶する。


今日は紺色のカーディガンのゆうちゃんは、栗色の後ろ髪が跳ねていて大変可愛い。


窓の外を眺めていたゆうちゃんは、こちらを一瞥してこくりとうなずく。

綺麗なグレーの目が私を見据える。

私は、へへ、と笑う。


いつも通りだ。


いつも通り…にできてるはず…!!



なんといっても、あの金曜日の「放課後可愛い事件」の日以来、始めてゆうちゃんに会うのだ。


何百回も脳内で繰り返し放送された「可愛い」の場面が、

ゆうちゃんを見た瞬間また蘇る。



「ゆ、ゆうちゃん、そいやこの前言ってた文化祭のオセロカフェね、」


私は、平常心を意識してふわふわ寝癖ゆうちゃんに椅子ごと近づく。


ゆうちゃんはこちらを振り向いて、ちょっとわくわくした顔になった(ように見える)。


形のいいピンク色の唇から、前歯が見えている。

その表情、可愛い、たまらん!!!


「放課後可愛い事件」の狼のような男の目だったそれは今はすっかり、子供みたいに輝いている。




「通ったよ!先生がシンプルでいい案だっていってた!」


私が笑って見せると、ゆうちゃんは「やっぱり」と無表情を装って言った。


でも、なんか、どうみても嬉しそうだ。

分かりやすい。可愛い…!




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