雪系男子のゆうちゃん
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そんなわけで、夏休みをもこのうるさい元気玉に犯されることに頭を抱えつつ、
補修が始まった。
「ってわけで、問3をー、
んーじゃあ、綾瀬!前出てきて解いてくれ」
「…あ、はい」
先生が俺を当てたのは
以外にも真面目に補修を受けているにもかかわらず、化学式が列記された教科書に門前払いされ集中力を切らせていた時だ。
俺は全くもって解答が分からないまま、ノート片手に前に出る。
「………」
俺が首をひねりながら、ぽいことを書き始めると、
「そこ、3じゃなくて2!あと、1番前もNaじゃなくてCu!!」
と後ろから小声で誰かが指摘するのが聞こえた。
俺は振り返らず、その通りに書き直す。
コトッとチョークを置いて席につくと、「おー、さすがだなー綾瀬。容姿端麗に加えて化学式もかけるときたか〜」
と教室を和ませる。
別に容姿端麗関係ない やめろ。
俺は心の中でそう突っ込みながら、授業に飽きたので残りの20分を外をボーッと眺めて過ごした。