雪系男子のゆうちゃん
そういえば、稽古がどうこう言ってた気もする。
柄になくピアノとかしてんのかなーと受け流してた。
そうなのか………
そりゃ、おっかなくて当然だ…
一人で勝手に腑に落ちる。
「で、その地方大会のライバルが本村美優なんだよ」
浜田が嫌そうな顔をしながら、また爆弾発言をする。
…あの本村氏が空手だと…?
「いや、それは流石に冗談」
俺はもう驚かされまいと、ペットボトルに口をつけて、今の衝撃で失った分の水分とナトリウムを補充する。
「あれ、見ろよ」
浜田に言われて顔を上げると、
これは南校舎の壁、屋上から垂らしてあるどでかいたて幕に
どんなに目が悪い奴でも読めちゃいそうな字で
「○年 ○県 空手大会 優勝 結城 絢香
準優勝 本村美優」
と掲げてあるではないか…!
俺は盛大に吹き出した水とナトリウムの混合物を、浜田の顔面にお見舞いした。
「えーー!!!!
お前、あれ今まで見えなかったの!?」
「俺、あれでかすぎて、家からでも見えるぞ!!」
「えーーーー!本村氏、まーじーでー!!!」
俺は失神する勢いで仰け反りながら、盛大にむせまくった。