雪系男子のゆうちゃん
「あーーー………」
そらそうだ。
入学式で一目惚れして、
となりの席になったのをいいことに、ほらよっと彼のことを知った気でいて。
私は恥ずかしさと反省で思わず机に突っ伏す。
「あーーー………」
みんな好きなんだ。
当たり前だ。当たり前なんだけど。
「あーーー………」
私が3度目の懺悔のため息をついた時だ。
聞き紛うはずもない、愛おしいハスキーボイスが隣から聞こえてきたのは。
「あやちゃん、聞いてる…?」
低くて着飾らない声。
顔を上げて横を見ると、
こちらを覗き込む、前髪がかかった色素の薄い瞳、
赤い唇から覗く前歯さえ愛おしい。
ああ…好きだ。
「ん…何が?」
声がかすれた。
いつもの笑顔を保って、そう返事するのさえも必死だった。
「ほら、あれ」
ゆうちゃんの神聖なオーラにまだ包まれたまま、指差す方をみる。