Bad Voice
その質問は俺だって気になってた
でも
唐突すぎた、俺はいつものテンションで
んなわけ無いじゃん
と、言って欲しかった

「あるよ・・・」

俺は理解が出来なかった
それとは打って変わって口は勝手に動いていた

「だれを・・・だよ」

なぜ言ったかも分からない
ただ勝手に動いていた

「同じダンス教室の同級生だ」

そんなことを言う海翔は、下を向いていた
そして、詳細を語り出した

「俺には才能がなかった、でも幼い頃から
ダンスが好きで、気が付いたら
趣味も特技もダンスになってた。通っていた教室でもNo.1になった
それくらい努力した。コンテストにも優勝して人一倍がんばった」

それから、少しの間海翔は
黙りこくっていた
そしてまた、少ししてから重い口を開く


「けど・・・、ある奴が教室にやってきた
そいつには本物の才能があった努力もせずに俺を差し置いてあっという間に教室No.1
になった、だから・・・やめて欲しかった」


海翔はそれから、話さなくなった
動機は分かった俺達にとってそれで十分だった

そして、後ろを見ると部員が全員揃っていた
部員は、今の状況を理解したらしく
海翔にかける言葉を考えているようだった

そして、晃介が声をかけようとした

「寺坂だよ・・・寺坂 春馬」

でも、
それは海翔のこの言葉により遮られた
その時の晃介の気持ちが少しわかった気はした
声をかけようとした時にかぶるって感じの
待て、そんなことより海翔はいま春馬と言ったのか?
はまのなまえをだした?

その場の全員が混乱していた
混乱の混乱による混乱のための混乱だ
自分でも何が言いたいのか
何をしたいのか全くわからなかった

「じゃあ!なんで眠らないの?傷だけ・・・?」

佑亮は、凌雅や拓弥が眠りにつき
起きない状態なのに
海翔だけ怪我だけで済んだことが
不満なのか
佑亮は不服そうな顔をしていた
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