Bad Voice
――――in大阪――

「ついたでー!」

普段から電車に乗りなれていない部員たちは電車に乗っただけで疲れ果てていた。

それとは違い太陽は楽しそうだった

俺はなぜか昔のことが
フラッシュバックしていた。

でも、はまも太陽に嫌がらせしていたんなら
同じじゃないか
恨まれる筋合いなんてない
そう思うことにした
そう思わなければ罪悪感に押しつぶされそうだったから

「おーい!太陽ーっ、こっちやー!!」

そんなことを考えていると
少し遠くから聞き覚えのある懐かしい声が聞こえてきた

「おぉ!!匠海!久しぶりやなぁ!」

太陽は、昔の友との再開を喜んでいた
でも、こっちはそれどころではない

「なんや、見覚えのある顔の奴おるやんけ」

匠海は、俺をあざ笑うかのように見てくる
俺はそれを無視することにした
それに、俺は元々匠海のことが嫌いだった

「寺坂を裏切ったお前が今更なんでや?
まず、寺坂を裏切ったんはお前や俺らが狙われる必要なんかあらへんやろ」


匠海は、何を考えているんだろう
でも、匠海の言ってることは正しい俺だけが狙われれば凌雅も…海翔も、
拓弥だって…

「お前訳わからんこと抜かすな祐輝だけが狙われたらええ?
元はと言えば寺坂に嫌がらせられとったお前らが言い返されへんヘタレやからこんなこと起きとんのに今更になって偉そうにゆーなや、俺はお前みたいな奴がいっちゃん嫌いやねん黙っとけ」

晃介が、初対面の匠海に罵声を思い切り浴びせた
罵声を浴びせられた匠海も黙ってはいなかった

「確に、俺は寺坂に言い返すことはできひんかった、だから何やねん
お前みたいにそんな心ない言葉が出るんは
人のために動いたことがない奴だけや」

匠海が放った言葉はなぜか
俺を悲しくさせていたそれに、言った本人もなぜか、悲しい表情をしていた
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