Bad Voice
再会

「ユーキっ!ユーキ!」

俺を呼ぶ声
聞き覚えのある声

「拓弥っ!?」

「ははは!びっくりした顔!」

いたずらに笑いながら拓弥は
俺をからかう
でも、そんなことはどうでも良かった
拓弥は、死んでなかった!
俺の目の前で話をしてる!

「拓弥、拓弥、生きてたんだな…」

「僕は、死んでないよ…でも、東京でまだ眠ってる!!ここは夢だもん。祐輝の夢」

「俺の…夢…?」

「そう!祐輝の夢!でも、今日は一緒に考えに来たのだァァ!!」

拓弥は、腰に手を当ててほっぺたを膨らましてまたしても、いたずらに笑う

考えに?俺は拓弥に問いかける

「うん、犯人を…」

悲しげに言う拓弥

「犯人なら…見たよ…」

こんなに近くにいた、犯人がわからずに
拓弥をなくしてしまった後悔や罪悪感が
俺を押しつぶしそうになる。

「晃介くんも言ってたじゃん!犯人は一人じゃないって」

俺は拓弥に会えただけで十分だった
助けられなかった拓弥に

「やる気なさそーだね。祐輝らしくない」

拓弥は、少し怒っていた

「僕はもういないけどまだ、太陽、匠海くんに、晃介くんがいるじゃん
それに、祐輝だって狙われてるんだよ?」


「みんな待ってるよ?」

拓弥の放ったそのことばに俺は釘付けになった

「…待ってる?」


「そ!東京にいた子達は死んじゃったけど
僕たちは眠ってるの!…起きられるかも知れないじゃん!」

拓弥とまた話せるかもしれない
夢なんかじゃなくて現実で
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