月の華
そぅが入院している病院に着くと、
そぅは上半身を起こし窓を開けていた。
「そぅ、大丈夫?」
「え……?」
何でいるの?とでも聞きそうな顔をしてこっちを振り返った。
「済まんな。俺らの所為で闇討ちにあったんだろ。」
「誰から…」と呟いたそぅだったが
「ふぅから聞いた?」
「「うん。」」
「そっか。まぁ久しぶり会ったんだし腰掛けなよ。」
そぅはベットの横の椅子をポンポン叩きながら笑いかけた。
この笑顔がみんな好き。
癒される。太陽みたいで爽やかなんだ。
「そぅ色々買ってきたよー!」
「そぅが好きなポテチも」
「違うでしょ!ポッキーが好きなんだよ!」
ポテチとポッキーの言い合いをする俺らを宥めながら
「僕はどっちとも好きだよありがとう。」
「そうか…」
俺たちはポッキーとポテチをテーブルに出し、コップを借りるとアップルとオレンジジュースをそれぞれついだ。
雑談ばかりしてたけど
急にそぅの顔から笑顔が無くなると、
「ふぅにも聞いただろうけど嵐と葉月は狙われてるんだよ。」
「どういうコトだ?」
「メルムって災いって意味のメトゥスを勝手に敵視してる組織がいるんだけどね。その組織が見習いで実績を圧倒的に差を付けている“4人”に目を付けたんだ。」
「4人?」
「そう。男女2人ずつ、そして、双子の見習いである嵐と葉月だよ。」
「もう2人は?」
「それぞれ受けてる訓練場が違うんじゃないかな?その4人がどうにかメルムに来てくれないか考えた挙句情報収集を始めた。」
「それで奏であるそぅに行ったってわけね。」
「そうだね。まぁ、こんな感じかな。
後もう一つはふぅの所にまで影響が及ばなければいいけどね。」
「私たちの所為で?」
「イイや、
相手が悪いんだよ。そこそこ実績がある組織だからまだ潰せないだろうけどきっと…嵐と葉月が幹部になったら潰せるよ!」
「だから、気にしないで専念して。」
とそぅは付け加えると。俺たちを追い返した。
「何か寂しいよ…」
スーパーのビニール袋を片手に俯く葉月。
「幹部にならなきゃいけないわね。
そぅの為にも。」
「そうだな。」
笑顔を見せる葉月はご機嫌が少し治ったようでニコニコしだした。