月の華


「Gratias ago…龍貴方に会えて私は幸せになれた。」








涙ぐむマーテルは今にも崩れ落ちそうだった。








そしてもう虫の息ぐらいの息になったころ。







「頑張れよ。」




「「「「はい。」」」」





パテルの呼び掛けに私たちは力強く返事した。





「Vale.(さようなら。)」








私が呟いた言葉を最後にパテルは息を引き取った。










嗚呼これで私に全ての責任が来る。










嫌だな。







そう思うのは本心。







静かに涙を流す皆を横目に私は腰の龍の頭らへんを掴んだ。












貴方を超える。そして歴史に刻まれるんだ。










「ジェミニ…帰るのか?」








「えぇ。しておきたいことがあるの。」











呼び止める嵐をスルーして塔に足を運んだ。







したいことなんてない。






ただ…ただ一つ言えるのはもう縛られないと言うこと。










私がインペラートルなんだ。








指揮は私が取らなければいけないんだ。










クローゼットに入り本を取り出した。









memento mori.
死ぬ事を忘れるな。






ラテン名言の数々___




暫くそれを眺めた後2階の部屋に行った。







「ルナ!…インペラートル!」





モルスが私に触れようとした。






私は触れられることは好まない




「noli me tangere.
(私に触るな。)」







「インペラートル…これは依頼の分です。どうぞ。」






モルスが掴んでいた辞書3冊分ぐらいの分厚さの依頼書を受け取った。








「これを1週間でしろと?」






「溜まっている分だ。お願いする。」





「わかったわ…是非ともやってあげる。」









私は妖麗に微笑んだ。
















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