彼女の涙に恋をした
第0章 別れ
「やだよ・・・ルイ・・・」
「・・・ごめん」
「なんで謝るのよ・・・・」
「・・・ごめん」

ただ彼はその言葉をひたすら繰り返すばかりだった。

「こんな別れかた卑怯だよ・・・」

別れは刻一刻と近づいてきた。

大地が少しずつ血に染まる。

少しずつ・・・・・でも確実に。

川のようにそれは止まらない。

彼の胸から流れ落ちる赤い水は止まらない

いくら両手を覆いかぶしても溢れ出してくる。

手は血に染まり、それは私の腕につたい、地面に滴りおちる。

彼は朦朧とする中私の瞳を見つめた。

やさしく、まるで壊れ物を包みこむように、彼は私の頬に手を当て振り絞るようにして言葉を残した。

「アン・・。ありがとう・・・・・」

そして・・・・ほほ微笑を浮かべ彼は目を閉じた。
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