AI
ver.0,01 _『model:AINE』
愛の音、そう書いて『アイネ』。
なんて素敵な響きだろう。
綺麗で、それでいて優しくて。
人は皆彼のことが好きだった。
ほら、その証拠に。
空っぽの棺の為に、沢山の学生服が並んでる。
ほら、笑わなきゃ、私。
愛音くんとの最後のお別れなのに、ほら、笑わなきゃ、私、ほら。
唇を噛みしめなきゃ、心臓から絞り出された何かが溢れそうで。
彼が好きだった、海が視界いっぱいに広がる岬。
彼はそこにいなかった。
あったのは、主がいなくなったローファー一対。そして、教科書と最後の手紙が入った鞄。
『詩鳥、また歌って』
「...うッ....フッ....アイ、ネ...くん....」
決壊してしまったダムは、もう元には戻らなかった。
愛音くんが死んだ。
もう彼の歌は聞こえない。
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