神様のイタズラ

車を車庫に入れると家の近くの

イタリアンレストランに入った。

白ワインを1本と前菜と料理を少し注文する。


殆ど会話なんてない。

なぜならあたしが怒っているからだ。



「あのさー、食事会のことなんだけど……」


重い空気を切り裂いたのは幸太郎からだった。


「じいちゃんが絵留にも参加して欲しいって言ってるんだ。絵留が良かったら一緒に来れないか?」


食事会………参加………

その言葉だけが頭の中に響く。


幸太郎の実家は由緒正しい血筋を引く家庭で、

日本でもとっても有名な会社を経営する一族だった。

現在は幸太郎のお爺様がそのトップであり

お母さんと愛人との間に生まれた幸太郎は

母子家庭で育った。

その為いずれその会長になるであろう幸太郎の彼女であるあたしも

食事会への招待を受けた。


ちょっと面倒臭い気持ちもある。

本当にこの人と結婚するかも分からないし

なんなら現在恋人としての時間も感覚も殆ど無い状態だから。


「少し考えさせて。」


あたしはそう言うと結露し始める白ワインに口をつける。
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