不器用な彼と
勇気Side



「お前さ、


…齋藤とLINEしてたり、するの?」


俺は頷く。


「へぇぇぇぇぇえ」


何がしたいんだよこいつは、


「てかさ、フード邪魔なんだけど…取れば?」


俺が被っているフードに手を掛ける。


咄嗟に大きな声が出ていた。


「やめろっ」


部屋が静かになる。


ああ、やってしまった、そう思うと同時に、


俺は無意識に保健室の方へ走り出していた。


ーーーーーーーーーーーーーー


玉森Side

はー。やっと、騒いでた男子生徒が帰ったー。


もう、あーいうの相手するのは担任とかの仕事でしょぉ~~。


なんで保健担当に押し付けるわけ。


ぷんすかしながらお風呂へ行こうとしていたら、保健室のドアが勢いよく開いた。


「……勇気!?」


はぁはぁと息を激しくさせている。勝利の部屋から保健室はとても遠いのに、よく体力のない勇気が走れたものだ。


「どうした、なんかあった!?」


「玉ちゃん…やっぱり、今日は、ここで寝てもいい?」


そんな、いきなり言われても…


「何があったか、聞かせて…って、勝利?勇気?」


勇気はバタンとベッドに突っ伏して寝息を立て始めてしまった。涙が一筋だけ伝っていたから、指で拭う。


多分精神的なもの。


でも、何があったかは俺には


わからんぷ~だねぇー。
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