不器用な彼と
勇気Side


勉強をする傍ら、健人くんが俺の服のフードをいじり出す。


「あっ、お前さぁ。あの玄関の可愛い子、誰?」


…隣の奴だ。


「なんか同じクラスとか言ってたな…」


「あんなかわいい子がいると思うと学校行きたくなんない!?」


「なんない」


そっかぁ、なんて言って健人くんが俺のベッドにダイブする。


健人くんは…俺に、学校に行けって言わない。


健人くんだけじゃない。母さんも、父さんも。


それが申し訳なくて、でも、行けと言われたって行けないのは現実で。


「ま!隣なんだから会えるでしょ。さ、コンビニ行こっと。勇気もその辺にして一緒行かない?お前、夜中も勉強してんじゃん」


「いい。フルーティオ買っといて」


「…わかったよーん」
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