契りのかたに君を想ふ
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高杉「絵美入るぞ」
スッ
高杉が部屋に入ると山になっている布団が目に入った。
高杉「何があったんだよ。稔麿があんだけ怒るなんて相当だぞ」
絵美からの返事はない。
高杉「布団引っ剥がすぞ」
絵美「………………」
バサッ
絵美「ぎゃあっ!」
今の季節は秋。
長時間布団に包まっているとその温もりから逃げ出せなくなる。
ましてや思いっきり布団を剥ぎ取られた日にゃ悲鳴も上がる。
高杉「で?何があったんだよ」
絵美「………別に」
頑なに口を閉ざす私に高杉は面倒になったのか大きな溜息を吐いた。
高杉「それだけ話したくねえなら無理に聞き出したりしねえけどよ、いつまでも閉じこもってんなよ?」
それだけ言い、部屋を出て行こうとした晋作。
絵美「ねぇ、一つだけ…聞いてもいい?」
一度襖にかけた手を降ろしもう一度私の方に向けた。
高杉「何だ?」
また吉田の時のように暴れられたらどうしよう、と心の中で少し躊躇したが思い切って聞いてみた。
絵美「何で…そんなに……幕府が憎いの?」
晋作は驚いたのか一瞬大きく目を見開いたが、すぐに元に戻り私の前に座りなおした。
高杉「お前、稔麿と何を話した?」