契りのかたに君を想ふ
近藤「そろそろ夕餉の刻だな。広間へ向かおう」
土方「絵美、広間でお前を隊士達に紹介する」
絵美「分かりました」
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~in広間~
土方「お前らに紹介してえ奴がいる。入れ」
絵美「胡桃沢 絵美です。宜しくお願いします」
私が挨拶をすると広間が騒ついた。
隊士「なんで女がここにいんだよ」
隊士「気持ち悪い髪だな」
隊士「女がいると邪魔だろ」
しかし、それはどれも絵美を批判するようなものだった。
絵美「………」
土方「こいつは俺の親戚だからな。手を出したやつは容赦しねえ」
絵美が辛そうに唇をキュッと結んだ姿を見た土方がそう言った。
永倉「絵美!こっち来いよー!」
絵美「でも…そこは幹部の席じゃ…」
藤堂「絵美は良いんだよ!」
幹部の皆の声を聞いた隊士達は私をキッと睨み、小声で陰口をたたき始めた。
隊士「顔が良いから組長達に贔屓されるのか」
隊士「腹立つな〜」
絵美「私…は……隊士の皆さんと一緒に食べます」
沖田「え〜!こっちで食べましょうよ〜!」
お願い…。
私を贔屓しないで。
絵美「ごめんなさい」
私はそう言って無理やり笑顔を貼り付け、隊士の席へ座った。
隊士「最悪だ。こっち来るぞ」
隊士「気持ちわりいな。飯が不味くなる」
居心地が悪いのを感じながらも耳にシャッターをかけて夕餉を食べ始めた。
絵美「いただきます」
隊士「ふんっ。礼儀は知っているみてえだな」
お願い。
これ以上私に構わないで。
何も言わないで。
バシャッ
隊士「おおっと、悪いな。手が滑っちまった。ハッハッハ」
隣に座った隊士が食器を片付けようと立ち上がった時、彼が残したであろう味噌汁が私の頭の上に落ち、全身に味噌の匂いが充満した。
絵美「気に…しないでください。事故は…誰にでも起きることです」
私がそう言うと男は気に食わなかったのか舌打ちをして出て行ってしまった。
隊士「くっせえな〜」
隊士「どっか行ってくれよ〜」
絵美「ご馳走様。気分が悪くなられたのなら謝ります。では、失礼します」
隊士「チッ」
絵美「土方さん、お風呂を借りたいんですけど…」
隊士「図々しい奴だな」
土方「お前…、その格好…」
絵美「ちょっとした事故です」
土方「そう…なのか?じゃあ平助を見張りに付けるから風呂入って来い」
絵美「ありがとうございます。藤堂さん、すいませんがお願いしても良いですか?」
藤堂「おう!任せとけ!!」
絵美「ありがとうございます」