契りのかたに君を想ふ
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私は今笠を深く被り、黒い袴を着ている。
側から見ればかなり怪しい。
しかし能天気な絵美は大して気にすることもなく堂々と門を潜ろうとした。
だが当然の如く、門番に止められた。
門番「奇しい奴だな。名を名乗れ!」
そう聞かれた途端に絵美の中では悪戯心が芽生えていた。
絵美は自分の最大限低い声と殺気を出して門番に言い放った。
絵美「お主等、儂が誰だか分からんのか?この愚か者めが」
門番「だ、誰だっ?!」
絵美「名乗るほどの者ではこざらぬ。今すぐ土方の元へ儂を連れて行くのだ」
門番「……わかった。着いて来い」
焦った門番は私を簡単に土方の元へと連れて行ってくれた。
絵美は笑を堪えきれず肩が上下に震えていた。
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門番「失礼します。副長に客人が見えております」
土方「通せ」
短い返事が聞こえると門番は去って行き、土方の部屋の前には私1人となった。
私は深呼吸をすると沖田の如く、襖を勢いよく開けた。
スパーーーーーーンッ!!!!
土方「……誰だお前。笠を取れ」
私はまた門番の時と同じ台詞を言った。
絵美「私が誰だか分からぬのか。この愚か者めが」
土方「何だと?名は?」
おー怒ってる怒ってる(笑)。
吹き出しそうになるのを堪えて私は笠に手をかけた。
絵美「名乗るほどの者ではこざらぬ。なーんてねっ。胡桃沢 絵美、新撰組屯所に帰還しました!」
私が笠を外すと間抜け面でこちらを見ている土方がいた。
土方「おま…いつ戻ったんだ?!」
絵美「今ですよ。見ればわかるじゃないですか」
土方「相変わらずその減らず口は変わってねえんだな」
土方はげんなりという表現がピッタリな顔で言った。