契りのかたに君を想ふ
絵美「そんなことより山南さんは大丈夫ですか?」
私が1番気になっていたことを質問すると土方が顔を歪めたことからあまり思わしきないことがわかった。
絵美「取り敢えず、みんなを集めてください。私がこの半年間、長州で何をしていたか説明します」
土方「あぁ。山崎!!!」
シュタッ!!!!!!
山崎「絵美、久しぶりやな。話は聞いとりました。幹部の皆はん方呼んでくればええんやろ?」
絵美「お願いね」
…………………………………
スパンッ
沖田「土方さん何ですか?いきなり呼び出して。僕もひ……ま…じゃ…………」
勢いよく襖を開けいつもの如く悪態を突こうとした沖田は目に映った人物に驚き言葉を失っていた。
斎藤「総司、入り口で止まるんじゃない。後ろがつっかえているだろう」
近藤「総司、どうかしたのかい?」
沖田「…………え…み………?」
ドーーーーーーンっっっっ!!!!
沖田「わあっ!!!!」
沖田の口から絵美の名が出た途端に力一杯沖田を突き飛ばし彼女の姿を確認しようとしたのは近藤。
絵美「皆さんお久しぶりです」
全員「絵美っっっ!!!!」
その後、長州での生活を幹部に伝えた絵美。
永倉「未来と決別か……」
三ヶ月間、眠っていたことも勿論伝えた。
土方「せっかく未来に帰れる手段だったってのに…」
米神を抑え、やれやれと頭を左右に振る土方。
しかし内心は彼女が暮らしていた平和で安全な世界よりも新撰組を選んだことに喜んでいた。
絵美「未来の方が生きてく上で安全だし、生活も便利。でも私は新撰組のみんながいないと生きていても意味がないの。だから私は自分の決断に後悔はしてない」
未来で父や母の姿を目にして帰りたいと思う気持ちも確かにあった。
でもやっぱり絵美にとって新撰組はなくてはならない存在。
そして彼女の中では今、幕府と尊王攘夷を一つに纏めあげるという大きな課題を持っている為、未来に帰るという選択肢はほぼ無に近かった。
原田「嬉しいことを言ってくれるじゃねえか」
藤堂「俺は絵美がここを選んでくれてよかった!!」
山南「決めたことを今更変えることは出来ないですし、今は素直に喜んでいいと思いますよ。土方君」
土方「わあってるよ」
絵美が帰ったことにより、ボロボロだった山南の心も少しは和らいだに違いない。
そう幹部の全員が、今見せた穏やかな山南の笑顔でそう思っていた。