契りのかたに君を想ふ
でもだからと言って私が易々と慶喜の元に戻るわけにはいかない。
だって、
絵美「私に気持ちがないのに慶喜といたって慶喜が苦しいだけじゃない。それに雪は私の気持ちは考えてくれないの?慶喜といてやれって言うけどそんなの実際慶喜だって求めてないんだからそれは雪のただの自己満足でしょう」
雪「……っ…………」
キツイことを言ってるのはわかってるけどちゃんと言わなきゃ。
雪「…………ごめん、絵美……」
絵美「うん、もう良いよ」
私は春と雪に不動堂村の門まで送ってもらった。
絵美「こっからは大丈夫!ありがとね、2人とも気をつけて帰って」
春「心配ご無用。私達に手を上げようもんなら返り討ちにしてやるわ」
絵美「ふふふ。そうね」
…………………………………
スパンッ
絵美「失礼します。新撰組監察型 胡桃沢絵 任務を遂行し、只今戻りました」
土方「っ!遅えぞ!!!馬鹿野郎!!」
土方は私を見るなり強く抱きしめた。
そして私達の声を聞きつけた局長、総長、幹部たちがドタドタと足音を立ててこちらへ向かってくるのが分かる。
幹部「戻ったか!!!!」
近藤「絵美、お帰り!!」
山南「絵美、無事でよかった」
絵美「新撰組 監察型 胡桃沢絵美、これより隊務に復帰いたします!!!」
みんなでワイワイガヤガヤやっていると招かれざる客がやってきた。
伊藤「あら、戻られたんですね。今まで何をしていたのですか?全く。対して仕事もできないくせにフラフラと遊び歩いて」
ピキッ
絵美「…長いこと開けてしまい申し訳ありませんでした。今日よりまた精進しますので宜しくお願い致します」
私は先ほどと打って変わり!無表情で言い放った。
近藤「い、伊藤さん、彼女は組みのためにずっと慶喜公や天子様といたのです」
伊藤「あら、それじゃああなた達が彼女に命じたの?よりによってこの子をなぜ…使える者は他にもたくさんいるのに……」
絵美「伊藤さん、申し訳ありませんが山崎と仕事の話をしたいので退出させていただきますね」
にっこり笑って私は部屋を出ようとした。
伊藤「私はあなたに負けない」
伊藤は私にだけに聞こえるようにそっと言った。