契りのかたに君を想ふ
***
チュンチュン
絵美「…ん……」
雀の鳴き声で目を覚ました絵美。
絵美「あれ…私確か道場にいて……」
そっか、倒れたんだ。
私…剣道本当に出来た。
私は一体誰なんだろう。
女なのになんで新撰組に入ったんだろう。
なんでみんなはあんなに私を大切にしてくれるんだろう。
思い出せないことが申し訳なくて優しくされればされるほど帰って胸が痛んだ。
スッ
原田「お…漸く起きたか」
絵美「あなたは確か…原田さんでしたね」
原田「原田さんなんてやめろよ。左之で良い」
絵美「え、でも…」
原田「お前はみんなの事をいつも名前で呼んでたんだ。今更変える必要ねえよ」
絵美「…わかりました」
私がそう言うと彼、左之助はクシャッと笑った。
トクンッ
絵美「え?」
原田「あ?」
絵美「やっ、なんでもないです!なんでもない!!」
手をぶんぶんと顔の前で降りながら否定をする絵美。
な、なに今の。
まぁいっか。
記憶があってもなくても適当なのには変わりない絵美だった。
原田「そうだ、甘味処行かねえか?」
スパンッ
沖田「是非お2人と御一緒します!!!」
原田「チッ。余計なのが出てきやがった」
沖田「嫌ですねえ。僕は左之さんが抜け駆けしないように見張りを兼ねて更に左之さんの奢りで甘味をたらふく食べてやろうって言う素晴らしく完璧な計画を遂行しようとしたまでですよ!」
原田「どこが素晴らしい計画だアホっ!!」
絵美「ふふふ」
私が笑うと2人は私を見て固まった。
絵美「あ、すいません。つい面白くて」
沖田「全然良いですよ!寧ろそうやって笑ってください。あなたには笑顔が似合いますよ」
原田「コラ。そーゆーお前が抜け駆けしてんじゃねえか」
後ろに一つで結ばれた沖田の髪をぐいぐいと引っ張る原田。
沖田「ちょ、やめてくださいよ!!それより早く甘味処行きましょう!!!」
絵美「わ、ちょ!沖田さん?!」
原田「おい待て総司!!!」
絵美の手を取り走り出す沖田。
そしてそれを追い掛ける原田。