契りのかたに君を想ふ






絵美は先程土方に言われたことを山崎に伝えていた。




山崎「分かった。今晩丁度伊東が島原で密会を開くそうやさかい侵入すんで。君菊にはわいから伝えとく」




絵美「承知」





………………………………………




絵美「君菊さん、いつもありがとう」




君菊「いいんよ。絵美はかいらしい顔してるさかいお化粧していて楽しいわ」




絵美「ふふふ、ありがとう」





毎度同じく重い着物に重い鬘。




稽古よりもよっぽどキツイとつくづく思う絵美だった。




君菊「せや、名前、考えといてな?」





絵美「はーい」




名前か…いっつも悩むんだよね。




じゃあこの間は梅だったから今日は百合にしよ。




絵美はいつでも適当だった。





てか、今まで一緒に屯所に住んでいた私が潜入して頭の良い伊東が気づかないかしら…。





絵美の不安は消えないまま日は沈み、月が昇る刻限となった。





…………………………………………





君菊「君菊言います。宜しゅうお願いします」




絵美「百合言います。宜しゅうお願いします」




浪士「上玉揃いだな〜」




大分酔いが回ってきてるのか、浪士達はベタベタと触ってくる。




にしても……




ものすごい人数。




大部屋なのに人が溢れかえっている。





一体どこからこんな人数…




上座に伊東が座ってるのが見えた。





うまく接近しよう。





絵美「伊東はん、お酌させておくれやす」




伊東「あなたは百合さんでしたっけ?お願いします」



絵美「へぇ」




トボトボトボトボ




伊藤「おいしいです」




絵美「今晩はえろう人数どすな」




伊東「えぇ、これはあなた達の暮らしを良くする為の会合なんですよ」





絵美「かっこええなあ。よろしゅうお頼み申します。さ、伊東はんもっと呑んどくなはれ」





たくさん酔わせて計画を暴いてやる。




覚悟しろ、伊東甲子太郎。





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