契りのかたに君を想ふ
……………………………………
絵美「左之〜、上がったよ」
原田「おう。あ、まだ髪濡れてるじゃねえか」
そう言ってガシガシと私の首にかかっていた手拭いで髪を乾かしてくれた。
絵美「ありがとう」
原田「なぁ今から散歩でも行かねえ?」
絵美「行く!行きたい!」
まぁ散歩と言っても治安の悪い京を夜に出歩くなんて危険極まりないので庭くらいしか行けないんだけど。
それでも原田に誘ってもらえたことが何よりも嬉しかったのだ。
絵美「夜は涼しいね〜」
今の季節は夏。
現代より暑くはないがクーラーや扇風機などは当然ない為、涼むものといえば扇子くらいしかない。
現代っ子の絵美は相当苦しいものだった。
原田「なぁ絵美、俺明日非番なんだ。だから2人で出掛けねえか?」
絵美「行きたい!でも…折角非番なのに私と出掛けていいの?」
思わず即答してしまったが折角の非番を私と出掛けるのに当ててしまっては良くないのではないか?
原田「俺がお前と出掛けてえから誘ってんだ。ゆっくりしたかったら誘ってねえよ」
そう言って原田はまだ乾ききっていない髪をくしゃっと撫でた。
絵美「じゃ行きたい!」
原田「あぁ。じゃあうるせえ奴等に捕まる前に朝早くに出よう。土方さんには俺が許可を取っとくから」
絵美「うん!じゃあ早く寝よっか!明日起きれなくなっちゃう」
原田「そうだな、帰るか」