契りのかたに君を想ふ





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辰刻 五ツ



絵美は左之助に連れられて丘を登っていた。




絵美「まだ朝なのにもう暑い倒れる」




原田「情けない。男だろっっっ!!!」




絵美「女だよっっっ!!!」





花をも恥じらう乙女に向かってなにを言うか!!!!



原田「もうすぐだから頑張れ」





そう行って私の手を引きながらずんずんと前に進む原田。






暫く歩くと頂上に着いた。





絵美「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」





すんごい綺麗!!





原田「綺麗だろ?」



絵美「うん!ものすっごく!!頑張った甲斐があった!!連れて来てくれてありがとう!」




原田「おう」




原田の顔を覗き込み満面の笑みで言うと頭をくしゃっと撫でられた。




絵美「朝餉、食べよ?作ってきたから!」





そう言って私は重箱を開けた。




原田「さすが!!頂きます!」




パクっ



原田「んめ〜〜!!!」




絵美「ふふ、良かった」




それからは2人で色んな話をして、気づいたら西に陽が傾き始めていた。




原田「そろそろ帰るか」



絵美「……………ん、そうだね」




帰りたくない、もう少しだけここにいたい。



いつまでも動かない絵美を不審に思い原田はもう一度絵美の横に座った。




原田「どうした?」



絵美「…もう少しだけ…ここにいたい……」




そう言うと驚いたのか目をこれでもかというほど大きく開けた原田。




絵美「……だ、だめだよね!土方さんに怒られちゃうしもう帰ろっか!」




慌てて立ち上がろうとすると右手首を原田に引っ張られ、また元の位置に戻された。




原田「土方さんには怒られ慣れてる。もう少しゆっくりして行こうぜ」




そう言ってニッと笑った。




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