契りのかたに君を想ふ
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こうして慶喜と天皇の元へ来たのだが…。
2人とも話が長いったらありゃしない。
そして難しい。
話についていくことと決して欠伸をかかないようにするのに必死だった。
天皇「胡桃沢と申したか」
いきなり名を呼ばれ扇子を向けられた。
絵美「気軽に絵美、とお呼びください。孝明天皇からもそう呼んでいただいてたので」
微笑みながら言った絵美だったがその笑みからは切なさが垣間見えたいた。
天皇「………して、絵美は…何か策はあるか?」
絵美「…いえ。しかし、取り敢えず彼方側の準備が出来てしまわぬ前に先手を打ちたいと思っております。人数はかろうじてまだこちらが勝っています。そして恐らくではありますが…武器も薩摩がいるお陰でこちらの方が有能かと。しかし…彼方側の情報が少ない故に不安が消えません。ですからできる限り早めに戦をしかけたいと思っております」
史実で新政府軍の大きな勝因はやはり薩摩の仕入れている最新式の武器。
それがこちら側にある為、幾分心強いのだが……
何か嫌な予感がしてならない。
考えれば考えるほどそのその予感が強くなってくる。
天皇「…其方は愉快じゃのう」
絵美「……は?」
何か面白いことを言っただろうか?
天皇「儂の側に置いておきたい。どうじゃ?儂の側室にならんか?」
慶喜「なっ…!何を仰いますか!!!」
絵美「大変失礼ながら、お断りさせて頂きます」
私がそう言うと一瞬で部屋の空気が冷たくなった。
天皇「ほう?儂に逆らうか」
絵美「申し訳ありません。私には恋仲があります故」
慶喜「何?それは初耳だぞ」
あれ?
言ってなかったっけ?
ま、良いや。