契りのかたに君を想ふ
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近藤「絵美、お前は山崎と共に伝達を頼む」
屯所に戻ると近藤に仕事を与えられた。
絵美「…承知」
本当はみんなと前線で戦いたかったな。
土方「不満気な顔してるな。だがダメだ。本当は天子様の警備をしてもらおうと思っていたところを伝達にしてやったんだからな」
絵美「はいはい、わかってますよ。だから何も文句言わなかったでしょ?顔に出るくらい許しなさいよ」
人の顔に文句言うだなんて失礼ね。
近藤「絵美…頼むから死なないでくれ。お前は…俺の娘なんだ。俺より先には死なないでくれ…」
何だかいつも大きく見えていた近藤さんが、今はすごく小さく見えた。
絵美「近藤さん、私は大丈夫よ。命を無駄にはしないわ。普通ならあり得ない、2度目の人生なんだし。大切に生きるから」
近藤「……お前を信じてる」
そう言って近藤さんは私の頰を優しく撫でてくれた。
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絵美「2度目の人生…か……」
「絵美、」
絵美「あ、一!お帰りなさい」
斎藤、藤堂は今晩で間者の役目は終わり。
絵美「明日から戦が始まるだなんて信じられないな〜」
斎藤「なぜだ?」
絵美「だって…凄く穏やかなんだもの」
そう言って夜空を眺めた。
絵美「明日の夜は、こうして星を見ることができないだろうし…目に焼き付けておかないと」
すると斉藤も絵美と同じように隣に座り、星を眺めた。
しばらく2人でそうしていると唐突に話しかけられた。
斎藤「お前が…左之と恋仲になったと聞いた。本当なのか?」
絵美「…本当だよ」
素直に答えると一は「そうか」とだけ言い、黙り込んだ。
絵美「私ね、もう死にたくない」
急に話しかけたからか目を見開いていたがそれも一瞬でいつもの表情に戻った。
絵美「それに大好きな人たちにも死んで欲しくない。だから一も気をつけてね。戦に勝って新撰組の名を上げて、平和な国を築こう」
斎藤「あぁ。俺たちは最後までお前について行く」