契りのかたに君を想ふ





拷問部屋を開けると私は迷う事なくある人物の元へ足を運んだ。




絵美「谷さん…」




余程酷い拷問を受けたのだろう。




顔中アザだらけで左目は空いていない。




谷「絵美…か……?こんな…とこで……なにを……」




絵美「谷さん、新撰組に力を貸して」




谷の言葉を遮り強く言うと谷さんは涙を流した。




谷「裏切り者の…私になぜ…」




絵美「裏切り者だなんて思ってないよ。谷さんは、谷さんの志を通しただけでしょう?」




私は持って来た竹筒を谷さんに飲ませてあげるともう一度言った。




絵美「谷さん、これが最後よ。もう一度私達に力を貸して」




谷さんはしばらく悩むと泣きながら微笑んだ。




谷「お前は…ずるい子だ……。お前に…頼まれたら……断れるはずが…ないだろう……」





絵美「…っ…ありがとう、谷さん!」





うまく歩けない谷さんに肩を貸して拷問部屋を出た。





扉を開けると新撰組幹部が待っていた。



私が誰を選ぶか分かっていたんだ。




沖田「お帰りなさい、谷さん。待っていましたよ」




井上「全く。心配かけるんじゃないよ」





永倉「あんたは戻って来てくれると信じてたぜ」




それぞれが声をかけているなか、原田は私が支えている反対側の肩を持った。




谷「みんな、すまなかった」




土方「ったく。すまねえと思っているなら仕事で表してもらおうか」




谷「副長、早速ですが私に良い策があります」




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