契りのかたに君を想ふ
2人とも酷い傷を負い、血を流しすぎたせいかその場から動くことができなかった。
ジャリッ
「新撰組の原田と胡桃沢だな」
顔を上げてみると明らかに味方ではない男達に囲まれていた。
次から次へと運がないと言うかなんて言うか。
絵美「だとしたら?」
「その首、頂戴する」
その男の言葉を合図に一斉に全員が刀を抜き放った。
原田「こっちは傷を負っている上に2人しかいねえのにそっちは大勢で仕掛けて来るだなんてな。俺等も恐れられたもんだな」
絵美「せっかく大将を倒したって言うのに…」
2人で背中を合わせながら立ち上がると震える手で刀を構えた。
伊東に右腕を斬られたせいで待つことすらままならなくなった。
せっかく生き延びたのにここまでか…。
思わず涙がこぼれたその時、1発の銃声が響いた。
パァァァアァァァンッ
音のした方へ視線を向けると馬に乗り、銃を構えた慶喜が目に入った。
そしてその後ろには土方や高杉を初めとする幕府側が着いていた。
原田「やってくれるな」
絵美「みんな……来てくれた……」
涙で顔がぐちゃぐちゃになった。
その後、幕府軍の凄まじい追い上げによって賊軍は全て滅ぼされた。