契りのかたに君を想ふ
大坂に着くとあっという間に浪士を見つけ、捕縛した。
その後、壬生浪士組は八軒家の舟宿京屋忠兵衛方でくつろいでいた。
夕方、涼みに舟遊びをしようと近藤、井上を省いた芹沢、沖田、山南、永倉、斎藤、平山、野口、島田ら九人で堂島川に出かけた。
絵美「うわあ…、川の水が透き通っていて綺麗…」
永倉「そんなの当たり前だろう?」
絵美「あぁ、私の時代って企業が発展しすぎて空気や水が汚いんですよ(ボソッ」
私が未来から来たことを知らない人もいるため、小声で永倉に言った。
永倉「へぇ、未来も案外大変なんだな(ボソッ」
絵美「あ、魚だ!」
手を水の中に入れると驚いた魚たちが水面をピチピチと飛び跳ねた。
そんな時、
斎藤「う"っ……」
永倉「お?どうした、斎藤」
絵美「(斎藤一、痛恨の腹痛…)斎藤さん、大丈b……キャッーーー!!!!!」
バッシャーーーーーーーンッ
川に……
落ちた…………!
絵美「………プハッ!!寒い!!!」
沖田「絵美さん!!!捕まってください!」
慌てて助けに出た沖田の後ろで永倉が静かに動いた。
永倉「おい………」
平山「…私ですか?」
永倉「お前、今わざと絵美を突き飛ばしただろ」
平山「何のことです?何故私がそんな事をするんです?」
永倉「俺は今見た。
………………そうか、絵美に手裏剣を投げたのもお前だな?」
平山「い、一体何のことを言ってるんです?」
永倉「(怪しいな…。目が泳いでいやがる)あいつが芹沢さんのお気に入りだから妬んでるんだろう?」
平山「何のことです⁉︎いい加減にして下さい!!」
そう言うと平山は芹沢の元へ行ってしまった。
絵美「…び、びっくりした…。沖田さん、あ、ありがとうございます」
沖田「いえ、それより大丈夫ですか?」
絵美「はい。恥ずかしい…川に落ちるなんて……」
永倉「お前びしょ濡れだな!大丈夫かあ?」
絵美「はい…、なんとか。それより斎藤さんが……」
山南に介護されている斎藤は額に脂汗を滲ませながらもがいている。
すると突然、
芹沢「ハッハッハッハッハッハッ!胡桃沢、お前は本当に愉快な奴だなあ!仕方ない、斎藤も胡桃沢もこんな状態だ。鍋島岸へ上陸しよう」
絵美「……………ふふっ…、ふふふふ」
芹沢につられて笑うとみんなが驚いたような顔をしてこちらを見ていた。
絵美「あ…、ごめんなさい。斎藤さんがこんな時に……」
永倉「嫌、そうじゃなくて…」
山南「ふふ、皆さん絵美さんが声を出して笑う姿を初めて見たので驚いているだけですよ」
絵美「え………」
沖田「絵美さんの笑った顔、素敵ですね」
永倉「ずっと笑ってろよ」
絵美「え……」
きっと私は今、耳まで真っ赤だろう。