契りのかたに君を想ふ
スパンッ
絵美「失礼します」
ベシッ
絵美「ったあ!!!!」
土方「襖を開ける前に失礼しますだろ。何で襖開けてから失礼しますなんだ」
絵美「あぁ、間違えた……」
土方「………………………………。まぁいい。それよりお前は剣が使えるんだな」
絵美「使えるって程でもないんですけどね」
土方「剣術以外にも何か出来るか?」
絵美「柔術と泳ぐことと走ることです」
土方「…どこを泳ぐんだ?」
絵美「……海や川などの水の中です」
土方「どこを走るんだ?」
絵美「……陸地です」
土方「何故泳ぐ?何故走る?」
絵美「……未来ではそう言う運動をする人が沢山いるんです!!!!説明下手くそなんで説明させないでください!!!!」
土方「お前……、それが本性か?」
絵美「…………。あのですね、私別に隠していたつもりはないんですよ?慣れない場所や人の前では大人しいんです!」
土方「……昔の総司みたいだな」
絵美「褒めてるんですか?」
土方「どうだろうな?」
絵美「………………用がないなら帰りますよ」
土方「まぁ待て。お前、隊士にならねえか?」
絵美「……………………お断りします」
土方「何故」
絵美「私は弱いので皆さんの足手まといになるだけです。それに、今私が剣術の稽古をやっているのは私に暴行を加える隊士たちを見返すためだけですから」
土方「……そんな気持ちで剣を握るなら辞めちまえ。剣が好きな奴に失礼だ。大体女に刀を持たせることがいけねえんだ。お前に頼んだ俺が馬鹿だった」
絵美「逆ギレですか?」
土方「あ?」
絵美「私が隊士にならないからって逆ギレですか?確かに見返すことが一番の目的ではあります。でも…、人を斬りたくないっていう思いもあるんです。私のいた時代は平和でした。人を殺めたら直ぐに牢へぶち込まれます。そんな平和な時代で産まれ育った私に人は斬れません」
土方「……悪かった。だがお前が今いる時代は物騒だ。人を殺める覚悟くれえは持っとけ」
絵美「はい。では」
スパンッ
絵美「失礼します」
土方「だから逆だっつってんだろ!!!!!」
絵美「あぁ、間違えた……」