契りのかたに君を想ふ
隊士「…………………」
絵美「…………………」
お互い無言のまま井戸へ到着し、隊士は井戸で顔を洗い始めた。
絵美「(何を考えてるの?何をしようとしているの?この人の行動が分からない)」
隊士「……おい」
絵美「(ビクッ)はい、何ですか?」
隊士「お前、何の為に剣術をやってんだ?」
絵美「………………え…」
隊士「だから…!お前は何の為に剣術をやってんだ!?」
絵美「(何て…答えたら良いの?見返したかったなんて言ったら殺されちゃうかもしれない)」
隊士「もしかして、俺らへの復讐か?」
絵美「…………い、いえ!」
隊士「やっぱりな……。だとよ、お前等」
隊士がそう言うとゾロゾロと私を嫌う隊士達が出てきた。
隊士「幹部の皆さんだけでなく芹沢さんまで味方に付けやがって」
隊士「調子乗りすぎじゃねえか?」
絵美「…っ……」
ジャリッ
隊士に囲まれて逃げ道はない。
私はどうする?
戦う?
それともやられる?
隊士「歯ぁ喰いしばれっっっっっっ!!!」
すると1人の隊士を筆頭に隊士たちは一斉に襲いかかってきた。
至る所から飛んでくる拳や脚を避け続けるが、距離が近い為避けきることができない。
バキッ
そんな時、1人の隊士の拳が顔面に入った。
ポタポタッ
唇の端から垂れてくる赤い液体が地面に落ちた。
絵美「……に……しろ…」
隊士「あぁ?」
絵美「いい加減にしろっっっっ!!!」
絵美が……………
キレた!!
ゴスッ バキッ
絵美は数分で多くの隊士を伸してしまった。
絵美「おしまい!」
パチパチパチ
絵美「………え?」
拍手の音と共に現れたのは幹部。
永倉「絵美、よく頑張ったな」
絵美「見てたんですか?」
斎藤「あぁ。助けてやれずスマン」
絵美「いえ……」
沖田「絵美さん、復讐を果たせましたね!」
絵美「………………まだです」
幹部「え?」
絵美「まだです。私は彼等と正々堂々と試合をして勝負を着けたいです!」
斎藤「その志は立派だが、もう良いんじゃないか?」
土方「良いだろう、やらせてやれ」
絵美「ひ、土方さんまで見ていたんですか!?」
近藤「俺達もだ」
山南「貴方に試合相手を選ばせたのは絵美さんに危害を加える者を調べる為だったんです」
原田「悪い、俺の所の隊士が…」
そう言って申し訳なさそうに謝りながら私の頭を撫でる原田さんに胸が痛んだ。
絵美「いえ、気にしないでください。私は大丈夫ですから…。それより隊士の皆さんをどうするつもりですか?」
土方「それなんだが、処分はお前に決めてもらおうと思う」